綴りかた日記

はてなダイアリ―から移行しました(2019.02)

2009-01-01から1ヶ月間の記事一覧

箱から出たばかりの太芯の鉛筆が、ふたり地勢図を交互に書く白紙を、小雨の川やハイボールより軟らかに逡巡なく埋めていく

美術館で、新国誠一のコンクリートポエムを「観た」。(作品がパネルに仕立てられて壁に飾られたというそれだけで、「読んだ」という表現に違和感が出てくる、「美術」と「文学」の境[を普段は意識しないほど「あたりまえ」として内在化してしまっている自…

茹でたてカリフラワーのこんもりした白、芽キャベツのころころした淡緑

朝、シジュウカラの群れに会った。 仕事場への移動中に、法律の講義音声を大きめの音量で聴いた。でも私の場合は、視覚的なインプットを補うほうが更に有効ではないかとも思う。 最終バスの時刻近くまで仕事して、激しくなってきた雨の中を帰宅すると、勉強…

朝の陽光が海と街、木々を通り抜け、かざした左の掌中央にあたたかく重い

仕事は忙しかったし、後の外出で帰宅がとても遅くなったけれど、穏やかな気分(ご馳走になった、温かい島豆腐も美味しかった)。マテ茶を淹れ、静かな音量でモーツァルトを鳴らし、香箱の中から引き当てたグリーンスパイス系のお香をくゆらせて「勉強タイム…

煎り黒豆を炊き込んだご飯の、意外につややかな強い甘み

ひととおり身繕いや炊事をして、鳥を見ながら山に登ってストレッチなどしたのは朝日や海が眩しすぎるぐらいの時刻になっていたけれど、無事に一日を始められてよかった。 やや遅い時間まで仕事が長引いたものの、移動の合間などを中心に法律の講義音声を、ま…

炬燵を離れて思い出す、蜜柑の白い筋の舌触り

夜、仕事がやや遅くなって帰宅し、夕食は10時すぎから。寒く、疲れてはいても、さほど遅い時間ではないのに、その後法律のテキストを開いて講義音声を聴いているうちに、また眠ってしまった。暗いとはいえ、朝の時間。目を覚ますと慌てて、詩の自習本をほん…

朝焼けの空が水平線に沿って伸びていく、数分間の薔薇色

新月、日食の日だけれど、清々しくリセットするというよりも、週を追うごとに日中の仕事が気忙しくなっていて、下手すると消耗しがちなのを強く感じさせられた一日。大局を把握し、本当に必要な行動だけを自然と選んで乗り切りたいと切実に思う。 まだ夜の気…

朽ちた切り株の洞や根元に芽吹く、霜の白さ

木の葉が風に乗るように、メジロが次々と谷間の木々の枝へ舞い降りてくるのを見た。見晴らしのよい登山道の傍に坐って真似事のような瞑想をしていても、風の冷たさが、ちょうどよい加減の日。 午後はずっと、法律のテキストを読んで過ごした。気付いてみると…

自分のかたちで自分ではないマウスピースが、つるつる圧着

法律の講義音声1時間半分を聴いていたが、そのうち眠ってしまった。一日中めずらしいことに五感を働かせていたり、長らくの歯科治療が今日で節目になって疲れたのか、講義を聴きながら横になっていたので、次からそんなことがあれば、テキストも見ながら聴く…

数歩あるいて振り返ると、一面のうすい霧がそこで途切れている

散歩に出ると、雨が続いていたせいか、遠くの海と雲の境もぼんやりと筆で刷いたようで、神秘的な感じさえする景色が見渡せた。風向きによるのか、数日ぶりに雑木林の、丸みのある深緑と茶色の匂いがする瞬間もあった。 夜、事務雑用が終わってから仕事場で小…

細い桜の枝先で、水晶の実のような雨粒が曇り空の景色を映している

山の散歩からの下り道、家の2階の窓際に座った黒白の猫が、体をひねったり伸ばしたりしながら、曇ったガラスを一心不乱に舐めていたのも、その時はとても新鮮でおもしろい光景なのに、忙しい仕事の山を越えて晩になってみると、何があったか思い出そうとし…

目の前から逃げないカラスは、柿の実をまるごとくわえてしまって、首をかしげている

あまり体調が万全ではない(心身酷使せずゆったりするほうが後々にも望ましい筈の)時期。「無理しない」ことはどこから怠惰になるのか、頑張らない(頑張れない)ことが、なにかに本気で継続的に取り組むうえでの健全な判断といえるのか。 朝と夜、法律DVD…

なにかが鳴りつづける自室で、三本の白い東光(あずまのひかり)が黄色の花芯までしっかりと開ききる

日の出前に起きて動き出せたのは気持ちよかったけれど、事務所へ仕事に出ると、予想以上に用事が舞い込んできて息つく間もない多忙な一日。身近な知人たちが、いま軒並み旅に出ていることを想う。夜は勉強しようとして、合間に度々眠ってしまう。 法律は朝と…

今冬最初の菜花の、すがすが伸びでた苦味が弁当箱で堂々としている

自分の都合でないことで、せっかくの「時間割」が左右されるのを止められないのが悔しい。早くに起きた分、いくら夜が静かでも目を覚まし続けていられないし。 夜が更けて寒いのと眠気で倒れそうになりながら、法律はテキストの続きにようやく目を通し、翻訳…

雨の中の散歩―坂道の側溝を洗う水、ガレージのアスファルトに隠れた土、山裾の民家のにおいが順々に

散策中に見るのを楽しみにしている「鳥の柿の木」の実は、二分の一になり、三分の一になった。 夜になり、法律の問題集の続きで、第一章で残っていた部分を全部やってしまうことにした。回答、答え合わせをして、ひととおり解説を読んだ。意外なところが頭に…

手頃なシャンパンの(料理を選ばない)直裁的な葡萄の風味と、上等なスプマンテの(野菜を選ぶ)偏屈な奥行きと

奇妙な一日。 そこここで友人たちと、命や社会の再生のことも、それよりずっと他愛ない、料理や猫、映画のことも長々と語り合っていた。(今になって、山への午後の散策途中に見た、柿の木を賑やかにして一羽、二羽と枝で並んだり入れ替わったりするメジロも…

枝に残された鈴なりの柿の実の間へ、次々にやってくるメジロたち

何故だろう、さまざまの鳥がいつもよりずっと数多く、活発に飛んだり歩いたり啼いたりしていた。 朝は事務所へ通うバスの中で翻訳。 処理すべきことが次々入ってきて、かなり切迫した一日。夜遅く帰宅して夕食が済むと、暖かい居間で勉強しようとしては眠っ…

小豆粥の赤、鍋の春菊の緑のコントラスト

朝の事務所で仕事前に翻訳。 夜は帰路途中や帰宅してからの夕食後に、法律の問題集で間違えた箇所をテキストでも確認。 あとは詩集を見ながら就寝へ。かなり気温が低く、窓ガラスが冷房装置のよう。睡眠不足も解消しないと!

燻され角のとれた緑の苦みが、はじめて木陰の径をこちらへ向かって香ってくる

昨日突然見つけて申し込んでいた詩のワークショップに、事務所での仕事の後、参加した。社会に向き合うテーマ設定が関心(と先週末の行動)に重なっていたし、スペシャリストの内輪の会合だけでなく、もっと開放的で共時的な創造の現場も見たかったら。聴く…

朝日のあたたかさの前に、頬にあたる外気の冷たさで、朝と向き合う

軽く山道を散歩したり、簡単なお弁当を作ったり、このところいつもの日課だけれど、今朝は少しずつ時間が早い。まだ誰も来ていない始業前の事務所で、赤いサーモカップに淹れて持っていった紅茶を頂きながら、20分ほど翻訳をした。朝のうちに自室でないとこ…

夕方へ向かう時間、空き地に丈高く伸びた笹を鳴らす風の冷たさを、鼻先でも感じる

珍しく午後になって山を歩き、通ったことのない静かな道を下りて戻ってきた。晴れてはいても、空の青さや陽の眩しさが早朝より拡散している印象がある。坂を下っていると、正面に浮かぶ雲が、翼の生えた狐や、龍のように見えた。普段「動物園」を空に探すこ…

山上の小屋のストーブ―灯油と、焼餅と、熱のにおい

近隣にいて接点があるようでなかった、世代も境遇も異なる人たちと思いがけない形で交流してみると、さまざまな「顔」の来歴があり、なにごとかに習熟・集中する道筋が万別であるという当たり前かもしれないことが、気持ちよく明快な事実として実感される。 …

一瞬に集まり定まった声が身体の中を押し上げられ、次々と飛び出していく

天気雨が本格的な雨になる。 新しい人たちと知り合い、新しいブーツをおろす。 自分の言葉・声が今日、とても小さな規模であれ、場の硬直化を破って、多くの想いがざわざわと泡立つ引き金になって役立てたとしたら、有り難いことだと思った。 帰宅して深夜、…

崖から伸び出る木の根の乾いた土のにおいが、落葉の湿度や緑の記憶のかおりと入れ替わる

雨が降りそうだけれど構わず山道を散歩して空を見ると、一見単なる灰色に思えた部分にも薄青の気配があるのに気付いた。 その後は相変わらず、仕事が立て続けにある一日。帰りついて、少しほっとしているうちに夜中になると、明日の会合関連の連絡や、思いが…

ずっしり甘い、おやつの薬飯から、ほろんとくずれ出る栗だけの甘さ

陽の光から最初の赤みが消えた頃に、山道の途中の開けた場所でストレッチなどしながら上を見上げると、よく晴れた空の青さがぐんと近づいてくる感じだった。 今日も、次々と新たな用事が入ってくる忙しい一日。一方で、スケジュール帳を昨年よりほんの少し細…

いつも気侭に出歩く猫が、寒暖差に曇ったガラス窓の向こうに行儀よく坐って(でも今、舌なめずり)

朝、空は曇っていたけれど、海面から顔を出してそう間もない太陽のまわりだけは一切を忘れるほど明々として、山の木立の間では鳥の声の層が厚みを増していた。 そのあとは、同時進行であれこれと忙しい仕事の多い一日。七草粥を頂いたりしているうち、課題を…

思いがけず用意された手料理のやわらかな「甘み」―今日は里芋マッシュ、リンゴ入りコールスローなど

詩は帰宅中の電車内で約10分。入沢康夫詩集収録の「ランゲルハンス氏の島」全篇の続きを読了。しかしこれは本当に「物語詩」だろうか? 帰宅後にPC整備や会計など、後に溜めたくない雑用を片付けるうちに夜が更けてしまった。翻訳は紙の上で20分弱。 法律は…

海の一点が橙や金のモザイクになって、真上の朝日を反射している

まだ朝日が、肉眼でじっと見ていられるほどで眩し過ぎない時刻のうちに山を散歩できる日は、本格的に冬になってから減っていたけれど、気持ちのよいものだと改めて思った。明日からも暫く続けよう。お弁当を作って、新年最初の職場へ向かうと、小さな息抜き…

掌大のすり鉢で、白胡麻がはじける音と香り

家族に頼まれて付き添いで外出することになり、楽しい場面もあったが、帰宅後うまくペースをつかめず、予定外に時間を使ってしまった。 そんなこんなで早寝する予定が、実際は深夜になって翻訳開始。新しい部分を紙の上で、20分強。なかなか啓発的な内容。 …

Skypeの雑音を通して聞く、友人の声の近さと、自分の声の反響の遠さ

室内でどれだけ厚着して手袋までしても寒いため(それを理由に)、雑用を片付ける効率が上がらない一日。窓辺や棚に飾っている花に目をやると、日々開いて力強く美しくなっているのに。 深夜になって、翻訳を約40分。文章の練り直しの続きと、紙の上でだけ荒…

桟橋の天気雨が激しくなり、山にかかった虹がまた薄れていく

午前中、約半月ぶりに近所の山を登ると、初めは勢いよかったが、目の前が白黒して息が切れてきたので度々立ち止まるしかなかった。景色がよく開けた場所でストレッチや、呼吸への集中をするのも気に入っているパターンだけれど、今日は膝裏が少し硬くなって…